現代では女性でも非常に多くの方が薄毛で悩んでおられます。年齢とともに身体の悩みが増えてきて、気づいたら薄毛が進行していたということも。リクルート社が行った「薄毛に関する意識調査」によると、女性が薄毛で気になり始めた年齢は50代前半が17.6%と最も多く、次に40代前半が16.0%と、更年期前後の年齢で薄毛が気になり始める人が多いという結果が出ています。今回は女性特有の更年期の薄毛の症状や対策に焦点を当てて解説したいと思います。
閉経の前後5年、計10年間を「更年期」と言います。多くの方が50歳くらいで閉経を迎えるので、一般的に45~55歳くらいが更年期にあたります。卵巣からの女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量は、40代半ばぐらいから目に見えて低下し、閉経するとほぼゼロになります。この女性ホルモンの減少が、さまざまな体の不調を引き起こす原因になります。
ほてり、のぼせ、発汗など
ほてりやのぼせは「ホットフラッシュ」などとも呼ばれ、更年期の代表的な症状です。
気分の落ち込み、イライラ、不眠など
ホルモンバランスの変化により感情のコントロールが難しくなり、このような症状が起きます。精神的なダメージやストレスは薄毛の原因にもなるので、異変に気づいたら心療内科などで相談しましょう。
薄毛、めまい、動悸、肩こりなど
更年期の症状は実に多様です。一見更年期が原因だとわかりにくいものもあります。異変に気づいたらすぐに治療や対策を行うよう心がけましょう。
更年期には女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が減少します。エストロゲンは髪の成長サイクルを整える働きがあるため、不足すると抜け毛が増えます。これが一般的な更年期の薄毛の原因と考えられています。しかし他にも更年期によって引き起こされる血流低下やストレスなどが間接的に原因となっている場合もあり、人によって原因は異なります。
結論として、更年期の薄毛特有の特徴が明確に存在するわけではなく、自力で更年期の脱毛かどうかを見極めるのは限界があるといえます。というのも更年期の薄毛として分類されるのは、症状が大きく異なるFAGAや休止期脱毛症などさまざまなものがあり、また原因も複雑な要素が絡み合っている場合が多いからです。病院で原因や症状を見極めてもらうのが最も確実です。
薄毛治療には治療薬の使用が最も効果的です。更年期による薄毛にも治療薬は有効です。薄毛でお悩みの方は病院で診察を受け、治療薬を処方してもらうことをお勧めします。女性の薄毛治療薬はスピロノラクトンとミノキシジルという2種類のお薬が代表的なものとなっています。以下は効果やおおよその費用の目安になります。使用を検討する際の参考にしてくださいね。
スピロノラクトン
ミノキシジル
費用
◎
3000円~6000円/月
◎
5000円~1万円/月
効果
◯
抜け毛を防ぐ
◯
発毛を促進する
副作用
◯
頻尿、低血圧など。
△
動悸などの副作用。不整脈持ちは非推奨
どんなお薬でも副作用は発生します。飲む容量や体質、持病などによって副作用の出方が異なるため、服用を始める際は必ず医師の診察を受けましょう。
抜け毛を抑制するスピロノラクトンの方が比較的安価に服用できることが多いです。抜け毛のみが気になる方はスピロノラクトンのみの服用で費用を抑えることができます。
FAGAなどの進行性の薄毛の場合、併用をすることでより高い治療効果が期待できます。金銭的な事情などで併用は難しい場合は、副作用などを鑑みて、医師との相談の上どちらを服用するか決めると良いでしょう。
同じ悩みを持つ女性がどんな風に克服したのか知りたくありませんか?ここでは治療薬服用によって更年期の薄毛を乗り越えた方の実際の声をお届けします。
“もともと薄毛気味でしたが、更年期に入り地肌が透けて来るのが目立つようになりました。ネットで調べるとスピロノラクトンとミノキシジルが女性薄毛にいいと知り、お医者さんとも相談して併用することにしました。服用を初めて1ヶ月ほどで効果が出始め、半年経った今は頭皮の透けがかなりマシになりました。副作用としては胸の張りや動悸が少しありますが、特段日常生活に支障をきたすほどではないので、背に腹はかえられないと思って服用を続けています。”(40代女性)
ストレス社会の現代において、女性でも薄毛で悩むのは全く珍しいことではありません。大切なのは薄毛を発症してからだけでなく、発症する前からも薄毛と向き合い、治療や対策を行うことです。まだ薄毛を発症していない人でもこれから発症するかもしれない薄毛に備えて自分の頭皮の写真を残しておくことをお勧めします。抜け毛は急速には進行しないため、自分で気づくのが難しいです。写真を残しておくことで過去の状態と比べることができ、セルフチェックが簡単になります。特に女性ですと、頭頂部は変化が見られやすいので、頭頂部の写真を残しておくと良いですね。
いかかだったでしょうか。すでに更年期の薄毛の疑いがある方は一度クリニックで症状や原因を診断してもらうことをお勧めします。まだ薄毛を発症していない方は日々の生活習慣に気をつけつつ、頭皮の状態を写真で記録しておくと良いでしょう。辛い症状も着実に対策や治療を行うことで乗り越えることができます。
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医療家系で育ち、若くに父が病死したことから、ヘルスケア領域での社会貢献を志す。自身が薄毛に悩んだ経験から「すべての人をデリケートな健康問題から解放する」をミッションにしたオンライン診療サービスActually, を創業。京都大学経済学部卒、ボストンコンサルティンググループにて企業の経営戦略策定を支援。